IgG4関連疾患/神戸市垂水区より来院

IgG4関連疾患（IgG4-related disease, IgG4-RD）は、免疫系の異常によって引き起こされる慢性の全身性疾患です。この疾患は、組織や臓器に炎症と線維化（組織が硬くなること）を引き起こし、特定の抗体である**IgG4（免疫グロブリンG4）**の異常な増加が特徴です。

主な特徴

1. IgG4の増加
   • 血液中のIgG4濃度が異常に高くなる。
   • 病変部位でIgG4を多く産生する形質細胞（免疫細胞）が集まる。
2. 多臓器に影響を及ぼす
   • ほぼ全身の臓器が影響を受ける可能性がある。
   • 特に、膵臓、唾液腺、涙腺、リンパ節、腎臓などが侵されやすい。
3. 線維化と腫瘍様病変
   • 線維化により組織が硬くなる。
   • 腫瘍に似たしこりや腫れが現れるが、良性であることが多い。

症状

• 症状は病変が発生する部位に依存しますが、以下のようなものが一般的です：
  • 膵臓: 自己免疫性膵炎（腹痛、黄疸）
  • 唾液腺・涙腺: 腫れ、口腔乾燥（ミクリッツ病）
  • 腎臓: 腎機能障害
  • リンパ節: 腫れ
  • 動脈: 大動脈炎や動脈瘤

診断

• 血液検査: IgG4濃度の上昇を確認。
• 画像診断: CT、MRI、超音波などで腫れや線維化を評価。
• 組織生検: 病変部位の組織を採取し、IgG4を産生する細胞の浸潤や線維化を確認。

原因

• 正確な原因は不明ですが、免疫系の異常が関与していると考えられています。
• 自己免疫疾患の一種とされることもありますが、他の自己免疫疾患とは異なる特徴を持ちます。

治療

• ステロイド療法: 炎症を抑えるためにプレドニゾロンなどのステロイド薬が第一選択。
• 免疫抑制剤: ステロイドに反応しない場合や副作用を抑えるために使用。
• 定期的な経過観察: 再発のリスクがあるため、治療後も定期的な診察が必要。

注意点

• IgG4関連疾患は良性の病気ですが、治療を行わないと臓器の機能が損なわれる可能性があります。
• 他の疾患（特にがん）と症状が類似する場合があるため、正確な診断が重要です。