こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法整体院【関西カイロプラクティック】IBA認定ボディートーク施術士(CBP)の鹿島 佑介です。
以前エピジェネティクスについて少しお話ししました。
⇒ 統合失調症は遺伝的問題なのに治るのですか?~遺伝子的問題に関係するのは毒素・感染症・トラウマです~
本日はエピジェネティクスの仕組みについての難しいお話しです。
エピジェネティクスの仕組み
この仕組みの研究のきっかけとして、一卵性双生児の研究があります。
一卵性双生児というのは、全く同じDNAを持った人です。
同じ環境で育つと背格好や病気なども似てきますが、同じ遺伝子でも環境が違うと顔・形・身長・体型、かかる病気などすべてが違ってきます。
エピジェネティクスの仕組みは、科学的にも少しずつ解明されていますが、まだまだ分かっていないことがたくさんあると思います。
今わかっている段階でのエピジェネティクスの仕組みについて少し説明します。
とても難しい話しですので、適当に読んでください。
エピジェネティクスとは?
エピジェネティクスとは、遺伝子を読み込むか(オンにする)、読み込まないか(オフにする)、をコントロールすることにより遺伝子発現をコントロールする仕組みです。
遺伝子装飾とも呼ばれ、同じ遺伝子でもエピジェネティクス的装飾によって発現したり、しなかったりするのです。
染色体の構造
まずは染色体の構造から説明します。
染色体の構造とエピジェネティクス一つ一つの細胞の核の中には、23対46本の染色体があります。
染色体の中には、ヒストンと呼ばれるタンパク質にDNAが巻き付いて折りたたまれています。
ヒストンとDNAを合わせてクロマチンと呼びます。
DNAとは?
DNAはデオキシリボ核酸と呼ばれ、デオキシリボースという糖とリン酸、塩基で構成されています。
塩基には、A( アデニン)、C(シトシン)、G(グアニン)、T(チミン)の4種類があります。
RNAではT(チミン)の代わりに、U(ウラシル)になります。
1つの塩基、糖、リン酸からなる単位をヌクレオチドと呼びます。
遺伝子発現のコントロール
遺伝子の発現をコントロールしているものは主に4つあります。
- 遺伝子の発現コントロール DNA上には、メチル基という化学物質によって遺伝子の発現をコントロールする仕組みがあります。
- さらに、ヒストンというたんぱく質の巻き具合(科学的にはヒストンテールの修飾)によっても遺伝子の発現をコントロールしています(ヒストンのメチル化、アセチル化、リン酸化など)。
- 非コードRNAがmRNAからタンパク質への翻訳を阻害します。
- DNAに結合するタンパク質である転写因子は、DNAに結合し遺伝情報の転写を促進したり抑制したりします。
セントラルドグマとは?
遺伝情報をもとにタンパク質を作る流れであるセントラルドグマという概念について説明します。
DNAの役割は、DNAコードという設計図をもとに、生命活動に必要なたんぱく質を作ることです。
セントラルドグマとは遺伝情報が、
「DNA → 転写 → mRNA(メッセンジャーRNA) → 翻訳(tRNAが運んでくるアミノ酸をリボソームでタンパク質に合成) → タンパク質」
という流れで、DNA情報がタンパク質に翻訳される概念です。
ですが、すべての遺伝情報が転写・翻訳されるわけではありません。
そこに「エピジェネティクス」が関わっているのです。
エピジェネティクスに関与するもの
エピジェネティクスに関与するものとして、先ほども説明しましたが、
- メチル基(DNAにメチル基を付けてメチル化することにより、遺伝子を読めなくしているもの)
- ヒストン修飾(活性型ヒストン修飾:この遺伝子を読む、抑制型ヒストン修飾:この遺伝子を読まない)
- 非コードRNA(タンパク質に翻訳されない機能性RNAで、mRNAからタンパク質への翻訳を阻害するもの)
- 転写因子(転写を抑制したり促進したりするタンパク質の一群)
があります。
この話しの中に栄養学的な要素も入ってきます。
遺伝子発現を抑制するメチル基~メチレーション回路~
遺伝子発現を抑制しているメチル基の問題です。
メチル化をコントロールするメチル基 メチル基はメチレーション回路により作られます。
メチル基供給体であるSAMe(S-アデノシル-メチオニン)を作るメチレーション回路の問題により、エピジェネティクス的問題が起こることもあります。
例えば、葉酸はメチル供給体の一つです。妊婦さんにおいて葉酸が不足すると細胞分裂における遺伝子発現に影響し、二分脊椎症などの問題につながることがあります。
分子整合栄養医学のなかで、このメチレーション回路の仕組みがブームのようになっています。
メチレーション回路の問題は、栄養学的問題である栄養不足の問題や栄養吸収の問題が関与することがあります。
栄養だけではなく、遺伝子多型などの遺伝子変異の問題が関与するケースがあります。
遺伝子変異の問題がある場合は、その他の部分でできるだけバランスをとるしかありません。
遺伝子変異のケースでは、自身が作れない栄養素をサプリメントで補給するのも必要なのかもしれません(ボディートークではサプリメントのアドバイスはしません。サプリメントのアドバイスをするのはフィシオエナジェティックです。)
⇒ ボディートーク療法について詳しくはこちら⇒ フィシオエナジェティックについて詳しくはこちら
フィシオエナジェティックでは、栄養でフォローすることもあります。
ボディートークの場合は、栄養の消化吸収能力を上げたり、全体でバランスを取るという方法になります。
非コードDNAとは?
遺伝子を調節する領域の脱メチル化による影響染色体の中のヒトノゲノム(全遺伝情報)30億塩基対のうち、タンパク質がコード化された遺伝子部分はわずか2%です。
それ以外の部分は非コードDNAと呼ばれます。
非コードDNAが何をしているのかについても、最近になって少しずつわかってきたことがあります。
簡単に説明すると遺伝子を調節する領域です。
DNAの複製や分配、修復、タンパク質を作るための調節に関わる働きです。
約2万2千の遺伝子から約5万のタンパク質を作ることができるのも非コードDNAが関係しています。
その遺伝子を調節する領域のメチル化が外れてしまうことにより、遺伝子の読み込みが大きく変わり、癌などの大きな病気につながることもあります。
遺伝子の調節をしているものの一つとしてトランスポゾンがあります。
トランスポゾンのメチル化が外れると、遺伝子の読み込みが大きく変わってしまいます。
エピジェネティクスの西洋医学的応用 エピジェネティクスはさまざまな応用が行われています 。
例えば、IPS細胞を使った技術はエピジェネティクスを利用した技術です。
もともと同じ遺伝子を持った細胞が、さまざまな組織に変化します。
これはエピジェネティクス装飾によるものです。
ある臓器になるには、ある部分だけ遺伝子をオンにして、それ以外はオフにしないと、特定の臓器にはなりません。
詳しいことは知りませんが、すべての細胞に分化できる幹細胞に戻し、そこにエピジェネティクス的装飾をして特定の臓器にする、ということでしょうか?
メチル基に作用する薬剤を使って、ガンを治そうとする研究も行われているようですが、都合よく一部分にだけ作用させることができないので、実用化するのは難しいようです。
エピジェネティクスによる遺伝子発現が変化する原因
エピジェネティクスによる遺伝子発現が変化してしまう原因は環境要因です。
⇒ エピジェネティクスに影響する環境要因について詳しくはこちら
ボディートーク療法では、その一部分にだけ焦点を当てることができます。
⇒ ボディートーク療法について詳しくはこちら
エピジェネティクスをボディートークで変えることについて思うこと このような、エピジェネティクスの問題に対してボディートーク療法で変えていくことができるのですが、ここで思うことがあります。
- 自分の身体は自分にしか治せません。私たち施術家ができることはそれを手助けするだけです。
- ドクターでない限り、癌が治るということは言ってはいけません。あくまで私たち治療家ができることは、自己治癒力を手助けするだけです。
- 意識を変えることにより病気が治せるかもしれない、と信じている方はエピジェネティクス的な大きな変化があるかもしれません。ですが、そんなことで変わらないと思っている方は変わりません。
素晴らしいものを手に入れたので、それを適切に使えるよう、病気を自分が治せると勘違いしないよう気を引き締めて使いたいと思います。
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エピジェネティクスについてのおすすめ本
エピジェネティクス革命 世代を超える遺伝子の記憶 [ ネッサ・キャリー ]
エピジェネティクスについて書かれた本ですが、専門書に近い内容です。
非コードDNAについてはこの本に詳しく書かれています。
DNAの98%は謎 生命の鍵を握る「非コードDNA」とは何か/小林武彦【1000円以上送料無料】
一度読んだくらいでは、全く理解できません…
専門的なことを知りたいと思われる方は読むと勉強になりますが、今日説明した内容で十分という方は、読まない方がいいかもしれません(笑)
もう少し読みやすい本として、先日ご紹介したブルース・リプトン博士の『思考のすごい力』という本があります。
「思考」のすごい力 心はいかにして細胞をコントロールするか [ ブルース・リプトン ]
こちらのほうが読みやすいですね。
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