こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法整体院【関西カイロプラクティック】院長の鹿島 佑介です。
腸脳相関(「脳-腸」相関)という有名な概念があります。
それに腸内細菌を加えた「脳-腸-腸内細菌」相関という概念が生まれています。
今日は「脳-腸-腸内細菌」相関について書かれた本をご紹介します。
過去の研究がふんだんに書かれており、素晴らしい本です。
この分野は発展途上ではありますが、かなりのことが科学的にわかってきているんですね。
『 心と体を健康にする腸内細菌と脳の真実 』
著者: 扶桑社
出版社 : 生田哲
価格 : 1760円 (税込)
最近では腸内細菌の遺伝子を検査できるようになり、腸内に住んでいる腸内細菌の種類や数が正確に調べられるようになりました。
その結果、思ったより多くの数、種類が共生していることがわかってきました。
これまでは酸素がない場所で住んでいる細菌を調べることはとても難しかったのができるようになったのです。
腸内には約100兆個、約200万種類の細菌が住んでいることがわかっています。
ちなみにウイルスは細菌の10倍です。
腸内細菌の遺伝子数は人の遺伝子数の100倍です。
「脳-腸-腸内細菌」相関とは?
脳と腸が腸内細菌を介して双方向でコミュニケーションをとっていることがわかってきており、それを「脳-腸-腸内細菌」相関と呼んでいます。
腸脳相関とは?
もともと「腸は第2の脳」と呼ばれています。
『腸には2つの特徴がある。ひとつは腸には大きな神経系が存在し、約1億個もの神経細胞が集まっていること。しかも腸の神経細胞は脳から独立して行動するため、「第2の脳」とも呼ばれている。』
『腸のもう一つの特徴は、腸が人体の最大の免疫系を備えていることである。免疫系とは、侵入してくる病原菌やウイルスといった外敵による攻撃から体を守る防衛隊のことである。全身のリンパ球の60%が腸管にあって、抗体全体の60%が腸管でつくられている。これを「腸管免疫系」という。』
『栄養素は腸管で粘膜から取り込まれる。一方、食べ物に付着している病原菌やウイルスなどは、小腸に存在するパイエル板を起点とする免疫系の働きによって体内から追い出される。』
栄養を吸収しようとすれば、そこに細菌やウイルスなどが一緒に入ってくるのです。
そのため小腸では常に免疫が戦っており炎症が常にあるため、小腸粘膜は2日で総入れ替えになるくらい速いスピードで細胞分裂を繰り返しています。
必要な栄養素を取り入れ、必要ないものは吸収しないように、高度な神経系が発達しているのです。
リーキーガット症候群
この本にはリーキーガット症候群のこともたくさん書かれていますが、ここの話しはカットします。
腸内細菌と脳の関係に関する研究
この本には腸内細菌と脳の関係に関するいくつかの研究データがのせられています。
『拘束ストレスをかけられた無菌マウスは、通常マウスにくらべ、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)とコルチコステロン(ヒトではコルチゾール)の放出量が著しく増えていた。』
つまりストレスに弱いってことですね。
『腸内細菌は脳の発達にも影響を及ぼすのか?そこでBDNF(脳由来神経成長因子)に着目した。
無菌マウスは通常マウスに比べ、記憶をつかさどる海馬と、思考や感情をつかさどる前頭葉のBDNF濃度が著しく低下していた。』『別の研究によってヒト脳内のBDNFレベルが変化すると不安や鬱になりやすいことが判明している。』
現実に抗生物質(細菌を殺す薬)をきっかけに人格が変ってしまった人もいます。
腸内細菌の構成を変えることによって脳と行動が変わる
腸内細菌の構成を変えることによって脳と行動が変わるということはわかっていますが、どのようにつながっているのかは経路が複数あって複雑で、まだ不明なことだらけです。
『
①迷走神経を介する経路
迷走神経は脳と腸をつなぐ神経である。ある細菌は、迷走神経を介して脳に影響を及ぼす。
この乳酸菌による不安を軽減させる効果は、迷走神経を介して起こることが明らかとなった。②生理活性物質による経路
エモリー大学のジュニファー・フェルガーは、血液中の炎症性サイトカイン値が上昇すると、うつになりやすいことを報告した。
炎症性サイトカインと細菌の細胞壁の成分が、脳のミクログリアと呼ばれる免疫細胞を刺激する。この結果、脳内の神経細胞からノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどのモノアミン類の放出が乱れ、うつなどの感情障害が発生する、と。③リーキーガットによる経路
細菌そのもの、あるいは細菌の細胞壁の一部分が腸から漏れ出ることによって問題を起こす。これがリーキーガットである。
』
腸内細菌とASD(自閉症スペクトラム)の関係
腸内細菌とASD(自閉症スペクトラム)の関係についてこのように書かれています。
『最近、とくに注目されているのは、便秘、腹痛、下痢、腹の張り(腹部膨満感)といった消化器系の障害、すなわち腸の障害がASDに共通する特徴であることだ。』
『彼女は「遅発性ASDは破傷風菌が抗生物質の服用によって錯乱した腸内で増殖し、神経毒素をつくることで起こる」という仮説を学術誌に発表した。
さらに文献調査を続けたところ、破傷風菌の毒素は、血液-脳関門を介することなく、迷走神経を介して腸から脳に到達したことを確認したのである。』
当院でも脳疾患の問題で腸内細菌などの腸内環境の問題はよく出てきます。
抗生物質は細菌を殺す薬ですが、そのあとにほぼ必ず悪玉菌が増えてくるのです。
抗生物質を一度使うと腸内環境はもう二度と元に戻りません。
抗生物質を飲む必要があるケースとしては飲まないと死んでしまうケースだけです。
風邪や鼻炎程度で抗生物質をとるのは後々の人生を変えてしまうかもしれません。
具体的に腸内環境を良くするにはどうしたらいいか、についてはぜひこの本をお読みいただけたらと思います。