鵞足炎（がそくえん）/神戸市東灘区より来院

鵞足炎（がそくえん）は、膝の内側にある「鵞足」と呼ばれる部分に炎症が生じる状態を指します。鵞足は、膝の下の内側にある腱（けん）が合わさって形成された部分で、「鵞足」という名前は、この構造がガチョウの足の形に似ていることに由来します。

鵞足の構成

鵞足を構成する筋肉の腱は以下の3つです：

1. 縫工筋（ほうこうきん）
2. 薄筋（はくきん）
3. 半腱様筋（はんけんようきん）

これらの腱が脛骨（すねの骨）の内側に付着し、膝の内側の安定性や動作に寄与しています。

鵞足炎の原因

鵞足炎は、これらの腱やその周辺に過度の負荷やストレスがかかることで発生します。主な原因としては以下が挙げられます：

• オーバーユース（使いすぎ）
  長距離ランニングやジャンプなど、膝に繰り返し負担がかかる運動。
• 不適切な運動フォーム
  膝が内側に入りやすいフォームや姿勢が問題になることがあります。
• 筋肉の柔軟性やバランスの問題
  太ももの筋肉が硬くなっている場合や、筋力バランスが崩れている場合。
• 急激な運動の増加
  運動量を急に増やすと腱や周辺組織に過度の負担がかかることがあります。

症状

鵞足炎の主な症状は以下の通りです：

• 膝の内側の痛み
  特に階段の昇降や運動時に痛みが増すことがあります。
• 腫れや圧痛
  痛みのある部分を押すと敏感だったり腫れていたりすることがあります。
• 運動制限
  痛みにより膝の曲げ伸ばしが難しくなることもあります。

診断

医師は以下のような方法で鵞足炎を診断します：

1. 問診
   症状の経過や運動習慣を確認。
2. 触診
   鵞足部位の圧痛や腫れを確認。
3. 画像検査
   必要に応じてMRIや超音波検査で腱や周辺組織の状態を確認。

治療

鵞足炎の治療には主に以下の方法が用いられます：

1. 安静と休息
   症状が悪化しないよう運動を控える。
2. アイシング
   炎症を抑えるために冷やす。
3. ストレッチと筋力トレーニング
   太ももの筋肉を伸ばし、筋力バランスを整える。
4. 理学療法
   専門家によるリハビリテーション。
5. 薬物療法
   炎症や痛みを抑えるための消炎鎮痛剤（NSAIDs）を使用。
6. テーピングやサポーター
   膝の安定性を高めるために利用。

予防

鵞足炎を予防するためには以下のことが役立ちます：

• 適切なウォームアップとクールダウンを行う。
• 太ももの筋肉の柔軟性を高めるストレッチを習慣化する。
• 正しい運動フォームを維持する。
• 運動量を徐々に増やす。

早期の対応と予防策を実施することで、鵞足炎の発症や再発を防ぐことができます。