こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法整体院【関西カイロプラクティック】院長の鹿島 佑介です。
強迫性障害などの精神疾患は遺伝的要素が関与した線条体(大脳基底核の一部)の問題と言われています。
当院でも生体化学的な問題が線条体に影響しているとして出ることが多いので、クライアント様には生体化学的な対応しかしてもらっていませんでした。
先日、当院に数年前から通われている精神的な問題でお悩みの方が、とてもいい兆候を示されていたのでこう言いました。
「今日、目を見て話してくれていますね。」というと「実は頑張って努力しているんです。」と。
その言葉を聞いて、私は根本原因を探ることばかりを考え、その人自身を見てなかったことに気づかされました。
確かに根本原因は遺伝的問題が関与する精神疾患の一種だと思われます。
どれだけ栄養素でカバーしても遺伝子のスイッチがオフにならない限り症状は続きます。
もちろん早期に解決できることもありますが、そうでない場合、クライアント様は苦しみ続けることになります。
本当はその中で社会で生きて行くためのコツみたいなものを提案できていたんじゃないか、呼吸法、瞑想、運動や行動を変えるなどの工夫をして生きやすくするための工夫ができたんじゃないのかな、と。。。
強迫性障害は遺伝的要素が関与した生体化学物質の問題かも
今日はそんな行動療法に関する本をご紹介します。
最近、本当に難しい本ばかりの紹介になってしまっています。
どうしてもいい加減な本をご紹介するわけにいかないんです。
ということで今回も専門書に近い本ですが、ご家族にこのような症状でお悩みの方がいれば、とても役立つ本です。
新装版 不安でたまらない人たちへ やっかいで病的な癖を治す [ ジェフリー・M・シュウォーツ ]
この本は強迫神経症(OCD)の話しです。
強迫性障害(OCD)とは?
- OCD(強迫性障害)は脳の生物化学的アンバランスに起因する疾患である
- 強迫観念とは、執拗に消えない、望ましくない想念や衝動のことである。
- 強迫行為とは、強迫観念がひきおこす不快な気分を払拭しようとして、むなしく何度もくりかえす行動のことである。
強迫性障害(OCD)を理解するうえで重要な脳の部分
強迫性障害(OCD)を理解するうえで重要な脳の部分の説明をします。
線条体(大脳基底核の一部)
線条体は被殻と尾状核という脳の中心部の深いところに並んでいる二つの部分から成り立っています。
被殻は行動や身体の動きを律するオートマティック・トランスミッションの役割を、尾状核は思考をつかさどる脳の前部のためのオートマティック・トランスミッションとフィルターの役割をはたしています。
ちなみにオートマティック・トランスミッションとはAT、通称オートマのことで、自動車の自動変速機のことです。
尾状核はある行動から次の行動へとギアチェンジをおこなっています。
強迫性障害(OCD)の患者様は、この自動的なふるい分けシステムが適切に働かないために、不安や衝動にかりたてられているのです。
フィルターが壊れると望まない思考や衝動が侵入してくので、強迫観念につながるのです。
眼窩皮質(大脳皮質である前頭葉の一部)
大脳皮質は脳の外側をおおっている部分で、前頭葉はもっとも高度な思考や意図をつかさどっています。
前頭葉の一部である眼窩皮質は脳の前部の下側にあって、強迫性障害(OCD)の舞台です。
眼窩皮質は「脳の過誤検知装置」で、眼窩のすぐ上に位置しています。
ここで感情と思考の連携がおこなわれます。
眼窩皮質は何が正しくて何が間違っているか、近づくべきか逃げるべきかを教えてくれるところです。
視床
身体の感覚情報を処理するための中継基地です。
嗅覚以外の感覚は、必ず視床のフィルターを通ります。
4段階の行動療法
繰り返し、自覚的な行動を繰り返すことにより、オートマティック・トランスミッションの機能を回復させる行動療法です。
行動を変えると、脳が変化します。
行動を建設的な方向へ変化させれば、脳が送ってくる不快な気分はいずれ薄れていく。
そうすれば、強迫観念への対応をうまく管理し、コントロールすることが容易になるのです。
第1段階:ラベルを貼り替える(Relabel )
- ラベルを貼り替えるとは、 想念、衝動、行為が強迫観念や強迫行為であることを自覚すること
- 頭に侵入してくるいやな考えや行動に真実のレベルを貼ること、つまり強迫観念、強迫行為と呼ぶことが第1段階です。
強迫性人格障害(OCPD)という病気もあるようです。
強迫性人格障害患者は、自分の考え方、やり方が唯一の「正しい」方法であり、他の人はみな間違っていると考えるので、自分の病気を理解することができないそうです。
この場合はラベルを貼り替えるのは難しいでしょうね。
第2段階:原因を見直す(Reattribute)
強迫性障害による症状は脳の誤った発火の原因となる生物化学的アンバランスと関連しています。
「原因を見直す」とは「強迫観念は、いうことを聞いてくれない脳に原因がある」と自覚することです。
- 強迫性障害(OCD)は脳に生物学化学的アンバランスが生じ、そのために脳のギアチェンジが不調になることと関係しています。脳のギアチェンジがうまくいかないので前頭葉の眼窩皮質(特に左脳)の「過誤検知回路」が作動したままになるのです。「何かがまずい」という強烈な感情が切れなくなるため、これが強い不安の原因になります。この思いを振り払うために強迫行為を繰り返すのです。通常は尾状核が別の行動にギアチェンジすることで眼窩皮質の回路が調整されスイッチが切れるのですが、強迫性障害はこの尾状核の働きに問題があるためにスイッチがきれないのです。
- 「原因を見直す」とは不快な気分に襲われたときに自覚的に行動を変え、有益で建設的な行動にギアチェンジすることで、故障していたシフトレバーがいずれ動くようになるという段階です。
- 強迫性障害(OCD)は、オートマティック・トランスミッションが壊れているので、大脳皮質(前頭葉の眼窩皮質)を使ってギアを手動で入れ替え、適切な行動をとらなければいけなくなります。行動を自覚的に変えることで繰り返しギアを入れ替えているうちに、線条体(尾状核)の代謝作用が変化し、トランスミッションの具合が良くなります。自覚的な行動を繰り返しているうちに、徐々にオートマティック・トランスミッションの機能が回復するのです。
- 行動療法をおこなうと、脳の帯状回という場所の機能にも変化が起こります。帯状回というのは記憶や情動と関係する場所で「強迫行為をしないと何か恐ろしいことが起こるぞ」と感じさせる部位です。行動療法の治療前は帯状回と眼窩皮質ががっちり組み合ってロックしています。このために強迫観念や強迫行為に激しい不安や恐怖が付随するのです。
- OCD患者は線条体の尾状核が関係します。トゥレット症候群(チック症状などの不随意運動を伴う)の患者は線条体の被殻が関係します。被殻は運動の自動コントロール機能・オートマティックトランスミッションと関係し、尾状核は思考の自動コントロール機能・オートマティックトランスミッションと関係します。両方に問題のあるケースもあるようです。
第3段階:関心の焦点を移す(Refocus)
- 関心の焦点を移すことで、執拗な衝動をかわす段階少なくとも15分、健全で楽しいことをして、強迫性障害(OCD)の症状をかわします。別の活動に関心を移すということです。
第4段階:価値を見直す(Revalue)
病的な衝動には何の価値もないと見極めます。すると衝動が消えるまでかわしておけるようになります。
- 「ほんとうにそう思っているのではない。OCDがそう感じさせているだけだ」と自覚して自分に言い聞かせ、現実を正しく観察する段階です。
- 力強い心は、脳が送るメッセージへの対応を変えることで、脳そのものを変えることができるのです。
- 自主行動療法を着実に続けていると、やがて脳が変化して症状を克服できるようになります。
脳のPETスキャンでわかること
PETスキャンで強迫性障害の患者様を調べると、尾状核の代謝が異常に活発になっていることがわかります。
- 症状が改善した人たちは、脳の両側の尾状核の代謝活動が大幅に低下したが、特に右側の変化が大きかった。
- 行動療法の治療前は、眼窩皮質、尾状核、帯状回、右側の視床の活動に強い関連が見られた。ブレイン・ブロックである。治療後はこの関連性が大きく減少した。
- 左眼窩前頭皮質の代謝活動の変化と、強迫性障害(OCD)の症状の重さの変化の割合は強い関連性が見られた。症状が改善された者ほど、眼窩皮質が沈静化していた。
この行動療法は強迫性障害(OCD)だけではなく、依存症や摂食障害などにも応用が利くと書かれています。
私自身パニック障害を持っていますが、自分がそうであることを受け入れ、自分で対応してきました。
受け入れることの第1段階は隠さないことです。
例えば、私はお酒を注ぐときに手が大きく震えてしまいます。
隠そうと思えば思うほど震えがひどくなります。
どう対応したかというと、一つは最初に「実はお酒を注ぐときに手が震えるんです」と言っておくこと。
そう宣言することによって逆に不安は和らぎます。
すると「そんなに震えてないじゃん」ってことになります。
人前でしゃべるときは「私は人前でしゃべると緊張して頭が真っ白になります」と言っておくことです。
これらはコツみたいなもので根本的に改善するわけではないですが、役に立ちました。
これも行動療法の一種かもしれませんね。
最後に非常に重要なポイントが書かれています。私自身もこの問題はたくさん体験しています。
ある意味一番難しい問題かもしれません。
- 強迫神経症(OCD)は必ず家族を巻き込みます。強迫性障害(OCD)の症状を利用していないか注意することが重要です。 家族に対して「鍵がかかっているか確認して」とか「壁を洗って」などと言うことがあります。もちろん家族が言うことを聞けば、強迫性障害(OCD)は悪化するばかり。絶望した家族は、つい言いなりになるのです。
- 恥ずかしさから、その秘密を誰にも明かさず、孤立を深めていくケースもあります。
- 人を遠ざけるために怒りをぶつけたり困らせたりすることもあります。
- OCD患者の家族へのメッセージは、「OCDを支えてはいけない。行動療法を支えなさい」ということです。
- OCDが快方に向かいはじめると、家族は無意識のうちに治療を妨げだすことがあります。家族関係の力学に変化が起こるのです。当院でもOCDではなくても、こういうことは時々あります。子どもがよくなると、親が豹変するのです。
- 患者は「疾病利得」を失うまいとすることがあります。親密な人間関係の問題が病気のままでいようとする最大の動機となるのです。親密な人間関係を恐れる人は、人との間に感情的な距離をおく理由にOCDを利用することがあります。
上記のような問題は多々あります。
疾病利得
過去にある依存症でお悩みの方が来院されました。
最初カルテとクライアント様の雰囲気を見たときに、第1印象としては正直ちょっとやっかいだな、と思いました。
問診のカウンセリングをしているうちに直観で「あ、この人は変な人を演じているな」と感じました。
どういうことかと言うと、人間関係が苦手で働きたくないから、変な人と思われたほうが都合がいいんですね。「疾病利得」です。
「疾病利得」はフィシオエナジェティック検査の項目では「心理的逆転」、ボディートーク療法では「クライアントの許可」と言います。
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先日、ゴミ屋敷についてテレビで話題になっていました。これも強迫性障害の一種でしょうね。
皆さま何かきっかけがり、それから集めるようになってしまったようです。
父親が亡くなった、とか家が火事になって集めていた物が無くなってしまった、とか。
ゴミ屋敷問題も上記の依存症と同じで、人間関係がイヤだから強迫神経症を利用しているのかもしれませんね。
では妄想を伴う統合失調症の場合はどうでしょう?
過去の経験からいうと統合失調症の場合はうまくいかないと思います。
統合失調症の特徴として「妄想ということが自覚できない」という症状があるからです。
強迫性人格障害(OCPD) と同じでラベルを貼り替えること自体が難しいのです。
当院はフィシオエナジェティック検査で根本を変えていきますが、それにプラスして行動を自覚的に変えることによる対症療法も同時にできれば一番いいのかなと思っています。