こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法整体院【関西カイロプラクティック】院長の鹿島 佑介です。
アレルギーや関節炎による炎症を抑えるには、どうしたらいいんでしょうか?
アレルギーや関節炎などの炎症と抗炎症 ~アラキドン酸カスケード~
アレルギーや関節炎などの炎症と抗炎症を考えるにあたって重要なのがアラキドン酸カスケードです。
アラキドン酸を原料に脂質メディエーター(エイコサノイド)などのアラキドン酸代謝物が作られ炎症が促進されます。
このアラキドン酸代謝の流れのことをアラキドン酸カスケードと呼んでいます。
アラキドン酸の代謝には酵素「シクロオキシナーゼ(COX)」「リポキシゲナーゼ(LOX)」が関わります。
アラキドン酸とは?
アラキドン酸は不飽和脂肪酸の一種の脂質です。
体内では細胞膜のリン脂質の中に多く存在しています。
体内でリノール酸から合成されますが、動物性脂質の中にはアラキドン酸が含まれています。
アラキドン酸カスケードの機序(一部)
- リノール酸 → ジホモ-γ-リノレン酸 → プロスタグランジンE1(炎症を抑制、血管拡張作用)
- リノール酸 → ジホモ-γ-リノレン酸 → アラキドン酸 ⇒ プロスタグランジンE2(炎症を促進、血管収縮作用=喘息・アトピー・リウマチ)
- αリノレン酸 → EPA → DHA(神経細胞の膜を構成するリン脂質の主要成分)→ プロスタグランジンE3(炎症を抑制、血管拡張作用)
いかに炎症を促進するプロスタグランジンE2を抑制するか、がカギになります。
リノール酸は炎症を抑制する物質にも炎症を促進する物質にも変化するので、リノール酸の摂取をできるだけ減らしてそしてできるだけプロスタグランジンE1に変換させること。
そして炎症を抑制するプロスタグランジンE3に変換されるαリノレン酸を摂取することが大事になります。
リノール酸とは?
体内で合成されない必須脂肪酸の一つで、多くの植物油に含まれる不飽和脂肪酸(オメガ6系脂肪酸)です。
αリノレン酸とは?
多価不飽和脂肪酸(オメガ3系脂肪酸)と呼ばれ、亜麻仁油やシソ油(エゴマ油)に多く含まれます。
脂質メディエーター(エイコサノイド)とは?
脂質メディエーターとは、他の細胞に何らかの影響を及ぼす炎症性物質の総称です。
プロスタグランジン(PG)類とロイコトリエン(LT)類に分類されます。
プロスタグランジン(PG))は、
- PGD2(プロスタグランジンD2)= アレルギー
- PGE2(プロスタグランジンE2) = 痛み
- PGF2(プロスタグランジンF2)
- TXA2(トロンボキサン(TX)A2)
などがあります。
抗炎症性のプラスタグランンジン(PDE1=プロスタグランジンE1)もあります。
ロイコトリエン(LT)は、
- LTB4
- LTC4
- LTE4
などがあります。
シクロオキシナーゼ(COX)経路
PG(プロスタグランジン)とTX(トロンボキサン)を産生する経路です。
アスピリンやインドメタシンはこの経路を阻害し、炎症物質であるPG(プロスタグランジン)産生を抑制します。
PG(プロスタグランジン)の作用
- 末梢血管拡張
- Th2細胞の活性化
- 好酸球の遊走
TX(トロンボキサン)の作用
- 平滑筋収縮
- 血小板凝集
- 白血球の遊走
シクロオキシナーゼ(COX)経路を阻害しアレルギーなどの炎症を抑える物質
下記のサプリメントは体質に合わない方もおられますので、自己判断での長期摂取はご注意ください。
ビタミンE
ビタミンC
ナイアシン(ナイアシンアミド=ビタミンB3)
ナイアシンはナイアシンアミドという形で摂ることにより、ナイアシンフラッシュ(熱感、かゆみ、しびれ、紅潮などを伴う症状)という副作用を抑えることができます。
ビタミンB-6
マグネシウム
など。
リポキシゲナーゼ(LOX)経路
炎症を促進するLT(ロイコトリエン)やLX(リポキシン)を産生する経路です。
ロイコトリエンの作用
- 炎症誘発
- 強い平滑筋収縮
- 血管透過性亢進
- 気道分泌
リポキシンの作用
- 血管拡張
- 好中球や好酸球の阻害
- NK細胞の阻害
- 白血球の機能抑制
- 気道収縮の阻害
リポキシゲナーゼ(LOX)経路を阻害しアレルギーや関節炎などの炎症を抑える物質
月見草オイル
ボスウェリア
など。
その他、リン脂質メディエーター
- アナンタミド(AEA)
- アラキドノイルグリセロール(2-AG)
- PAF(血小板活性化因子:血小板凝集、血管透過性亢進、平滑筋収縮、好酸球・好中球の遊走)
- リゾホスファチジン酸(LPA)
胃粘膜とアラキドン酸カスケード
シクロオキシナーゼ(COX)にはCOX1とCOX2とがあります。
COX-1は胃粘膜保護機能があるため、アスピリンやインドメタシンなどの抗炎症薬が胃の粘膜を弱めてい障害を引き起こします。
ですので今はCOX-2だけに作用する選択的阻害剤が作られています。