こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法整体院【関西カイロプラクティック】院長の鹿島 佑介です。
今日は統合失調症や鬱症状、自閉症などの精神疾患に関係する低メチル化と高メチル化のお話しをします。
低メチル化と高メチル化~統合失調症やうつ症状にはいろんな種類があります~
低メチル化と高メチル化、そして統合失調症の種類やうつ症状の種類について書かれた本をご紹介します。
【KINDLE版】(私はkindle版を購入しましたが、字を拡大しないと読めません)
統合失調症の分類
ウイリアム・ウォルシュ博士は統合失調症を5つの種類に分類しています。
ちなみにメチレーションについてはこちらを参考にしてください。
低メチレーションタイプ統合失調症
高メチレーションタイプ統合失調症
ピロール型統合失調症
グルテン不耐症による統合失調症
その他の統合失調症
亜鉛と銅のバランス
亜鉛と銅のバランスは脳機能に大きな影響を与えます。
- 亜鉛↑(亜鉛過剰) ⇒ 銅↓ 亜鉛↑
- 亜鉛↓ ⇒ 酸化ストレス↑グルタチオン↓ ⇒ 亜鉛メタロチネイン(血液脳関門にて有害物質が脳に入るのを防ぐ)↓
- 銅↑(銅過剰) ⇒ ドーパミン↑ノルアドレナリン↑エストロゲン↑ヒスタミン↓ ⇒ 多動、学習障害、月経異常
- 銅はノルアドレナリン合成における補因子
- ピルの使用 ⇒ 銅↑亜鉛↓ ⇒ モリブデンも銅を減らす ⇒ エストロゲン不耐性 ⇒ チョコレート不耐性
- 亜鉛↑ ⇒ 鉄↓
メチル基がDNAに与える影響
統合失調症や自閉症はDNAレベルの問題が関係していることもあります。
- 葉酸とナイアシンはDNAとヒストンのアセチル化を促進(アセチル基はアセチルCoA)
- メチオニンとSAMeはDNAとヒストンのメチル化を促進
うつ症状について
一般的に多いうつ病は、
- ビタミンB6↓ ⇒ セロトニン↓ドーパミン↓ギャバ↓
が多いです。
鬱症状の分類
ウォルシュ博士は鬱症状の原因を6種類に分類しています。
- 葉酸不足による鬱症状20%(セロトニン↑ドーパミン↑)
- 銅の過剰による鬱症状17%(ノルアドレナリン↑)
- ピロール障害によるうつ症状15%(セロトニン↓ギャバ↓)
- 低メチル化によるうつ症状38%(セロトニン↓ドーパミン↓)
- 毒物によるうつ症状5%(ミエリン鞘破壊、酸化ストレス↑グルタチオン↓)
- その他のうつ症状5%
上記の分類で重要な部分は、全体の4割くらいが抗うつ薬が逆効果になるばかりか害になるということです。
自閉症について
自閉症の95%が低メチル化です。
自閉症(ASD)の特徴
- 低メチル化
- 低グルタチオン
- 有害重金属の上昇
- 銅↑セルロプラスミン↓ ・亜鉛↓
- ビタミンA↓
- 尿中ピロール↑
- メタロチオネイン↓
- マグネシウム↓
- セレン↓システイン↓
その他ADHDなどの精神疾患
ADHD (注意欠陥多動障害)/行動障害(BD)
- 亜鉛/銅バランス(2/3は銅が過剰)
- 高メチル化(30%)
- 低メチル化(37%)
- ピロール尿症(33%)
- 重金属(18%)
- ブドウ糖の代謝異常(低血糖、30%)
- 吸収不良(15%)
その他の精神疾患
- 反抗挑戦性障害(ODD)は低メチル化
- 行為障害(CD)は尿中ピロール↑
- 反抗性パーソナリティ障害(ASPD)は低メチル化、尿中ピロール↑亜鉛↓
高メチル化と低メチル化の内訳
- 人口の約70%は正常
- 22%が低メチル化
- 8%が高メチル化
メチル化サイクルのステップ
メチル化サイクルについてちょっと専門的な話です。
- ステップ1: 食事由来のメチオニンが高エネルギー分子のATPと結合することでSAMe(サミー)ができる。この反応を促進するのがマグネシウム。これでサミーはメチル基をいつでも放出できる。
- ステップ2: メチル基を放出したサミーは、SAH(S-アデノシルホモシステイン)になり、SAHはメチオニンを作るのに再利用される。だが、SAHが過剰になると、サミーによるメチル化速度が低下する。メチル化状態の基準となるテストはSAMe(サミー)対SAHの比率(「SAMe/SAH」)である。
- ステップ3: 健康な人ではSAHがホモシステインに効率よく変換され、メチル化のレベルが適切に維持される。この化学反応でSAHからアデノシンが酵素によって除去される。次にアデノシンは亜鉛を含むアデノシンデアミナーゼ(ADA)という酵素によって除去される。自閉症とその他の病気の患者は、ADAの化学反応が異常なまでに低下している。
- ステップ4: ホモシステインの一部分はメチオニンにリサイクルされ、残りはシスタチオニンに変換される。この2つの経路は健康を維持するのに欠かせない。
ホモシステインの問題とメチル化
ホモシステインは動脈硬化や血栓症にも関係する代謝物ですが、脳にも影響します。
- メチオニンのリサイクルはサミーレベルを維持するのに役立つ。 ②シスタチオニン経路は主にシステイン、グルタチオンなどの貴重な抗酸化物質の重要な供給源である。
- メチオニン(あるいはシスタチオニン)に変換するホモシステインの割合は、存在する酸化ストレスのレベルに左右される。酸化ストレスのレベルが高いと低メチル化となり、低メチル化は酸化ストレスレベルを高める。
- ホモシステインをメチオニンにリサイクルするのは、5-メチルテトラヒドロ葉酸(5-MeTHF)とビタミンB12の化学反応による。
- 5-MeTHFはメチル基を供給し、メチルB12を作る。メチルB12はホモシステインと反応し、メチオニンを再生する。この反応はメチオニンシンセターゼ(MTR)という酵素によって行われる。
- ホモシステインはトリメチルグリシンと直接に反応し、メチオニンに変わる。なおTMGはメチル基をホモシステインに与え、メチオニンとジメチルグリシン(DMG)ができる。
ちょっと難しい内容ですが、重要なポイントは統合失調症や鬱症状には種類があり、その中には正反対のような原因があるということ。だからこそ薬での治療は難しいのです。
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