こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法治療院【関西カイロプラクティック】院長の鹿島 佑介です。
本日は腸に関する素晴らしい本を紹介します。
『「腸と脳」の科学 脳と体を整える、腸の知られざるはたらき 』
著者:坪井 貴司
出版社:ブルーバックス
価格:1210円(税込み)
「腸と脳」の科学 脳と体を整える、腸の知られざるはたらき (ブルーバックス) [ 坪井 貴司 ]
あまりにも内容豊富なので2回に分けて紹介します。
脳腸相関とは?
『本書では、第1部で、なぜ腸と脳が連絡を取り合っていることがわかったのか、腸の中に存在するミクロな生き物たち(「腸内マイクロバイオータ」と呼ばれます)が、脳腸相関で重要なはたらきを担っていることを解説します。第2部では、最近の研究からわかってきた腸と睡眠、記憶、精神疾患・神経疾患や発達障害、そして食欲と肥満との関係を紹介しましょう。そして第3部では、著者の専門分野である生理学、神経科学の最新研究で明らかになってきました。より詳しい脳腸相関のしくみや、腸か脳以外のさまざまな臓器とも情報をやりとりしていることをお話しします。』
昔から脳腸相関という言葉があり、神経の繋がりから脳と腸には大きな関係があることがわかっていました。
最近の研究によりそれがもっと科学的に研究されており、さらに腸内細菌やその代謝物の研究も進んでいます。
病気と腸内細菌との関係や薬がどのように腸内環境に影響するのか、というような研究もたくさん行われており、いろんなことがわかってきています。
腸内マイクロバイオータと不安行動の関係
『腸内マイクロバイオータの組成が変化して腸内環境が変わると、行動にも変化が現れるというのです。』
『SPSマウスの腸内マイクロバイオータを除去するために抗菌薬を飲ませ、腸内マイクロバイオータの組成を攪乱させると、海馬や扁桃体での脳由来神経成長因子の発現が低下し、不安行動が増えるという異常が見られたのです。』
当院のフィシオエナジェティックの臨床でも、抗生物質を摂取した後にイライラや不安がひどくなったり、うつ症状が出たり、本当にひどい人では性格が変わってしまった(精神疾患を発症した)人を何人も見ました。
⇒ フィシオエナジェティックについて詳しくはこちら
緩やかな変化から急激な変化までさまざまあります。
緩やかな変化の場合は脳の神経伝達物質の変化だと思われますが、急激な変化の場合はエピジェネティクス的な遺伝子のスイッチの変化によって精神疾患を発症したと思われます。
腸内でセロトニンなどの神経伝達物質が作られるからだ、という表現をする人もおられますが、腸で作られたセロトニンは脳にはいきません。
ですが他の何らかの物質が脳神経伝達物質に影響しているのだと思います。
まだまだ分からないことだらけですが、研究が盛んにおこなわれていますのでいずれ分かることでしょう。
腸内マイクロバイオータとうつ症状の関係
『腸内マイクロバイオータの組成が変化しディスバイオシスを起こすことで、何らかの腸内代謝物が減少、あるいは組成が変化し、それがうつ症状を引き起こしている可能性が考えられます。』
『うつ病患者は健常者よりビフィドバクテリウム属の数が統計的に有意に少なく、ラクトバチルス属の数も低下していました。つまり、この2種類の細菌数が減ると、うつ病のリスクが高くなることが示唆されたのです。』
当院の臨床では厳密に言うとうつ病ではなく、躁鬱病(双極性障害)状態になりやすいと思っています。
ビフィドバクテリウム属(ビフィズス菌)は主に大腸に住んでいる嫌気性細菌です。
小腸に住む好気性乳酸菌であるラクトバチルス属などが酸素を消費することによってビフィズス菌が住みやすい環境を作ります。
ですのでほぼセットで減ります。
人工甘味料の影響
『無菌マウスに、スクラロースを摂取したヒト由来の腸内マイクロバイオータを移植されたマウスでは、耐糖能低下するが傾向が見られたのです。これらの結果から、サッカリンとスクラロースの摂取は、腸内マイクロバイオータの組成を変化させ、その結果、腸内代謝の組成も変化させることで、耐糖能の異常を引き起こすことがわかりました。』
まだ機序ははっきりわかっていませんが、以前から人工甘味料が糖尿病を改善しないばかりか悪化させるのでは、と思わせるような臨床医データが集まっているようです。
人工甘味料や精製砂糖ではなく、未精製砂糖(黒糖など)やオリゴ糖を利用するのが良いと思われます。
人工甘味料を使うのは、安価でそこそこ味が良く感じる物、ということで使われるのでしょう。