こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法整体院【関西カイロプラクティック】院長の鹿島 佑介です。
今日はリンパ、そして腸リンパの話しです。
腸リンパとはなんでしょう。腸リンパの仕組みはとても面白いです。
『リンパのふしぎ-未病の仕組みを解き明かす』
著者:大橋俊夫
出版社:ちくま新書
定価:968円(税込)
リンパのふしぎ 未病の仕組みを解き明かす (ちくま新書 1592) [ 大橋 俊夫 ]
腸リンパとは?
個人的にはとても面白い本でしたが、新書でありながら一般向けではなく医療者向けの本です。
リンパ系生理学の教科書のような本。
内容について書きたいことはたくさんありますが、その中で二つ「腸リンパ系」と「むくみの仕組み」について少し引用したいと思います。
表紙に著者のコメントが載っています。
『私はリンパを医学として研究する立場から、十分な水を摂ると腸のリンパが流れ、免疫力を上げるのに役立っていることを発見したのです。』
当院のフィシオエナジェティックの臨床でも水を飲むことが腸にプラスになる、逆に言うと水不足は腸にとってマイナスになる、そして免疫力に腸が大きく関係することはわかります。
⇒ フィシオエナジェティックについて詳しくはこちら
それを科学的に証明されていることにびっくりしました。
『リンパとは、毛細血管と細胞のあいだに存在するすき間「内部環境」を満たす液体がリンパ管に流れ出したものです。リンパは、毛細血管や細静脈から漏れ出した水分やアルブミン、細胞から生み出された老廃物を運んだり、病気のもとのウイルスや細菌を撃退するなど重要な役割を担っています。本書では、免疫力と腸のリンパとの深い関係など最新の研究成果も豊富に含め、「未病」つまり病気を未然に防ぐためのからだの仕組みを医学的根拠に基づいて紹介していきたいと思います。』
リンパの役割と言えば免疫です。
もちろんリンパには免疫以外の役割もあります。
- 組織から余剰になった液(水分)を回収する
- 消化吸収された脂質(脂肪分)を循環系まで運ぶ
- 免疫担当細胞(リンパ球、単球、抗体を産生する形質細胞)の産生(リンパ節)
など。
腸リンパの仕組み
『腸からのリンパは横隔膜の腹側で下肢からのリンパ液と合流して、乳糜層と呼ばれる袋に流れ込んでいます。乳糜層に溜まったリンパ液は、太い胸管に流れていき、左の静脈角から血液に戻ります。
胸管のリンパは、乳糜層と静脈角との間のわずかな浸透圧の違いを利用して流れます。静脈圧というのは、その字の通り静かな水の柱における圧力のことで、外側に水分を押し出そうとする圧力です。乳糜層の静脈圧が静脈角より大きくなるのは、体を横にした時です。つまり、寝ているときに腸からのリンパがたくさん流れるのです。腹式呼吸で腹圧が加わればさらに良く流れます。「リンパは夜流れる」と言われるゆえんはここにあります。」
呼吸や睡眠が免疫にとって重要であるということですね。
小腸とアルブミン
『特に小腸の壁の細静脈から、からだの中で一番多くの亜アルブミンが漏れ出していることがわかってきました。からだの中で一番たくさんリンパが作られている臓器が小腸なのです。血液のアルブミンのほぼ全量が、一日かけて全身の細静脈から漏れ出し、リンパ管、リンパ節を通って血管の外を循環して血液に戻っているということになります。』
アルブミンは肝臓で作られるタンパク質で、主に血液中に存在し総タンパクの7割近くを占めるタンパク質です。
アルブミンの主な役割は、浸透圧を調整したり組織に栄養(ミネラルや脂肪酸、ビタミンDなど)ホルモンを運ぶことです。
水を飲むと免疫が上がるのか
『最近になって、水を飲むことと自然免疫力とが関係する新たな細胞がわかってきました。その細胞は自然免疫細胞と呼ばれ、1,2,3の3種類があります。そのうちILC-3は腸の壁に住んでいます。』
『ILC-3細胞はからだのいろいろな細胞の自然免疫力を上げたり、腸内細菌がからだの中に入るのを防いだりするタンパク質「IL-22」を作って自分の代わりにからだを回って、働いてもらっています。
水分を飲むとIL-22が腸リンパにたくさん流れてきて、乳糜層から胸管を通って、血液の中に流れ出していることを発見しました。』
腸内細菌が流入するのを防ぐタンパク質があるのか。知らななかったです。
水を飲むことが腸を通して健康につながるんですね。
この本には他にも非常に面白い内容満載です。
これだけの内容で新書とは、すごい本です。