こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法整体院【関西カイロプラクティック】院長の鹿島 佑介です。
本日は東洋医学に関する本のご紹介です。
『東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム』
著者:山本 高穂, 大野 智
出版社: 講談社 ブルーバックス
価格:1210円(税込み)
東洋医学はなぜ効くのか ツボ・鍼灸・漢方薬、西洋医学で見る驚きのメカニズム (ブルーバックス) [ 山本 高穂 ]
東洋医学を科学的に証明する
東洋医学に関することが最新情報も含めて詳しく書かれており、とても面白いのです。
東洋医学を科学的に証明しようとしているので、西洋医学寄りのスタンスで書かれているのが少し気になります。
東洋医学を科学的に証明しようとすることは自体は悪くないとも思うのですが、本来の東洋医学からどんどん離れていっている気がして。。。
私個人的には、経絡や経穴は目に見えるものではないので、今の科学では絶対に証明できないとは思っています。
ですが目に見えないものが科学的に証明できるような時代が来たら話は違ってくるのではと思っています。
経絡とファシア(膜組織)との関係
この本にも書かれていますが、経絡と肉体との関連で一番近いと個人的に重いのが結合組織・膜組織であるファシアとの繋がりです。
結合組織とは、簡単に説明すると身体の細胞以外の部分のほとんどを埋めるものが結合組織です。
結合組織は何でできているのか?
結合組織は、
によって成り立っています。
そこに間質液(=組織液・細胞間液・細胞間リンパ液)が流れています。
結合組織の役割
結合組織の役割には、下記のようなものがあります。
- 筋肉の支持(姿勢の安定・緊張・伸張・固定・弾性)
- テンセグリティ構造による緊張の分散・生体防御(衝撃吸収)
- 筋肉に水分や栄養を届ける
- 物質を蓄える
- 水を貯える
- 筋肉の動きの潤滑を良くする
- 筋肉に柔軟性を与える
ここに一つ付け加えるとしたら、経絡エネルギーの伝達ですね。
結合組織でできているもの
結合組織でできているものは、膜組織以外にもあります。
- 骨
- 軟骨
- 靭帯
- 歯
- 真皮・皮下組織
- 血管
- 脂肪組織
などです。
ですが、最近の研究では細胞の中にまで結合組織のネットワークがありますので、すべての臓器に関係すると言えます。
結合組織は、主には筋膜などの筋肉や内臓を包む膜組織ですが、厳密に言うと細胞内とのつながりもある可能性があります。
アナトミートレイン(筋膜経線)と経絡の関係
筋膜を含む膜組織をFacia(ファシア)と呼びます。
この本ではトーマス・W.・マイヤースが提唱しているアナトミートレインという筋膜の繋がりと経絡の流れが一致するのではないか、という仮説が書かれています。
『アナトミートレインは日本語では「筋膜経線」と呼ばれています。体の一部に負担がかかったときに、その張力を感じあう(=その影響が及ぶ)筋膜のつながりは線路のように「ライン」と呼ばれ、全身であわせて12本のラインがあるとされています。』
『実は、この筋膜経線の多くが、鍼灸の経絡と相似しています。』
筋膜に関する参考本
アナトミー・トレイン [Web動画付] 第4版 徒手運動療法のための筋膜経線 [ トーマス・W.・マイヤース(Thomas W. Myers) ]
膜組織の中を目に見えない経絡エネルギーが流れている?
膜組織の中を目に見えない経絡エネルギーが流れているのではないでしょうか。
筋膜を流れるのが体表に近いところを流れる12経絡ですが、厳密には体内の膜組織すべてに流れがつながっていると思われまし東洋医学でも体内にも経絡の流れがあります。
治療点として経穴があるという感じでしょうか。
個人的に東洋医学について思うこと
この本にも書かれていますが、頭痛の時はこのツボ(経穴)、腰痛の時にはこのツボ、みたいなパターン通りの治療をする先生がおられるという話を聞いたことがあります。
今では鍼灸の学校で教えることも、西洋医学寄りになっているという話しも聞いたことがあります。
頭痛パターンとか肩こりパターンとか腰痛パターンとか教えるみたいです。
漢方薬にしても「風邪の引き初めに葛根湯」みたいな対症療法としてお医者様が処方するのが普通になっています。
これは本来の東洋医学とは違います。
東洋医学をかじっただけのやつが何言ってんだと思うかもしれませんが、東洋医学を本気で勉強した人たちに聞いた話です。
鍼灸や漢方薬は元々、対症療法ではなく、望診や脈診をして、刺激する経穴(ツボ)や処方する漢方薬を決めていましたそうです。
流派によっては症状を一切聞かない、というような流派もあるようです。
望診とは
望診とは中国医学において使われる診断法で、
- 肌を診る
- 顔を見る(顔面診)
- 舌を診る(舌診)
- 脈を診る(脈診)
などで身体の状態を把握し、それに合わせて刺激する経穴を決めたり漢方薬を処方するのが本来の東洋医学です。
例えば、脈診とはこのようなものです。
治療方針を決めるときに望診をしっかりしている先生は本来の東洋医学を行っている先生だと思って間違いないと思います。
逆に症状だけを聞いて決める人は西洋医学に近い先生ですね。