こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法整体院【関西カイロプラクティック】院長の鹿島 佑介です。
本日はリン酸カルシウムに関する本のご紹介です。
『腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する』
黒尾誠
幻冬舎新書
946円
腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する (幻冬舎新書) [ 黒尾誠 ]
結論を言うとリンとカルシウムが過剰になると健康に大きな影響をあたえますよ、という内容の本です。
すべてが本の内容ではなく、個人的な考えや私の個人的な仮説も書きます。
リンは老化促進物質(ミネラルの一種)
まずは著者が腎臓がリンを排出できなくなることが老化の原因になることを発見した、という話をします。
『血液中のリンが少ない動物ほど寿命が長いということ。何かリンが多いことで起こりやすい不都合があって、体内にリンをためがちな動物ほど寿命が短く、リン排出の調整能力が高い動物ほど寿命が長くなっているのではないか。
リンを体内から排出して調節しているのは腎臓です。だからリン排出の調整機能の高い、高性能の腎臓を備えている動物ほど長く生きられるのではないかという推論も成り立ちます。』
後ほど説明がありますが、リンが悪いというよりリン酸カルシウムという物質が骨から溶け出したり骨にに貯められず、骨以外の場所に影響すると大きな問題になるという話です。
抗老化ホルモン「クロトー」とは?
『老化が加速したマウスをくわしく調べたところ、ある遺伝子が欠損しているのが分かり、私はその遺伝子を「クロトー遺伝子」と名付けました。
さらに研究をすすめていくと、クロトー遺伝子が欠損したマウスは、体内にリンを貯めこんでいることが分かりました。』『FGF23はそのときすでに「リンを体外に出すためのホルモン」として知られていて、骨から分泌され、血中を流れ腎臓に到達すると「リンを排出せよ
」という指令を伝える事が明らかにされていました。
実はクロトー遺伝子は、このFGF23を受け取るための受容体の役割を果たしていたのです。』
クロトーは現在は抗老化ホルモンとも呼ばれ、ホルモンの一種に分類されています。
腎臓や副甲状腺で作用し、カルシウムやリンの調節に関わるホルモンです。
リンとは?
リンはミネラルの一種です。
リンの役割
リンの約8割はカルシウムと結合しリン酸カルシウムとして骨や歯の主成分となっています。
細胞膜の主成分であるリン脂質(フォスファチジルコリン)の材料でもあります。
DNA(デオキシリボ核酸)の構成成分でもあります。
エネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)の構成成分です。
リンを含むもの
リンを含む食品としては、
- 肉
- 魚
- 乳製品
- 食品添加物(加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージなど)、練り物、Ph調整剤、かんすい(ラーメン)、など)
- フィチン酸(大豆、穀物など)
などがあります。
リンが過剰になると
リンが過剰になると下記のような問題が起こる可能性があります、
- 高リン血症
- 動脈硬化(血管石灰化)
- 成長障害
- 心肥大
- 骨粗鬆症
- 性腺・胸腺・皮膚の萎縮
- 肺気腫
- サルコペニア(筋肉量の減少)
- 感音性難聴
- 認知症
- 慢性炎症
など。
リン酸カルシウムの問題
骨や歯の構成成分であるリン酸カルシウムは、硬い骨をつくり上部な骨格を支えるという役割があります。
ところが丈夫な骨と引き換えにリン(リン酸カルシウム)という大きなリスクを抱えることになったのです。
骨以外のところにリン酸カルシウムが溶け出してしまうことが大きな問題になります。
『リンとカルシウムは「いつでも固められる工事用セメント」のようなものかもしれません。
この工事用セメントが骨以外のところで固まってしまったらどうなると思いますか?』『リン酸カルシウムは、骨という「貯蔵庫」にストックされている分にはまったく何の問題も起こしません。しかし血液中や細胞外液など骨以外のところでリン酸カルシウムが析出すると、非常に厄介な事態を招くことになります。
なお、この「セメントで塗り固められたかのように組織が硬直化していく現象」は「石灰化」と呼ばれています。』
リン酸カルシウムのコロイド粒子「CPP」
リン酸カルシウムのコロイド粒子「CPP」についてこのような説明が書かれています。
『リン酸カルシウムは普段たんぱく質と結合してコロイド粒子のかたちで血中を移動しています。そしてこのリン酸カルシウムのコロイド粒子はCPPと呼ばれています。
血液中のリンが高濃度になると「細胞毒」や「病原体」のように働いて老化を加速させるという話しをしましたが、まさにこれを引き起こしているのがCPPだということになります。
だから本当の悪者は、リンそのものというよりも、むしろこのCPPなんですね。リンそのものには別に罪はなく、むしろ日々体に欠かせない役割を果たしてくれるのですが、カルシウムと結合してリン酸カルシウムとなって析出した途端、凶暴な行動をとり始めるようになると考えていいでしょう。』
CPPの影響
CPPの栄養には、
- 動脈硬化
- 関節や靱帯などの石灰化
- 炎症
- 細胞障害
- 細胞死
などがあります。
動脈硬化、靱帯などの軟部組織のカルシウム、細胞内のカルシウムの高濃度は、老化の兆候です。
80歳の大動脈の平均カルシウム含量は、40歳の人の約140倍です。
リン酸カルシウムが溶け出す原因
リン酸カルシウムが溶け出すのは原因があります。
- 腎臓機能低下
- ビタミンD不足(日光不足、肝臓や腎臓での活性化の問題)
⇒ ビタミンDについて詳しくはこちら - 副甲状腺ホルモンの問題
⇒ 副甲状腺ホルモンについて詳しくはこちら - カルシウムとマグネシウムのバランス(マグネシウム不足)
⇒ マグネシウムについて詳しくはこちら - 運動不足
ビタミンDが不足すると副甲状腺でつくられる副甲状腺ホルモン(PTH)が大量に分泌され、骨を溶かして血液中のカルシウム濃度を上げようとします。
この状態が長期間続くと骨がもろくなり骨折しやすくなったり、関節や靱帯にカルシウムが沈着して石灰化し炎症を引き起こすことがあります。
他にも動脈硬化、など様々な症状が起こります。
牛乳とカルシウム
リンは細胞膜の材料ですからざまざまなものに含まれていますが、個人的には牛乳に含まれるリンとカルシウム、そしてリン酸塩などの食品添加物は避けたほうがいいと思っています。
牛乳に含まれているカルシウムやリンは骨にはつかず骨以外のリン酸カルシウムを増やしてしまうことがわかっています。
それが何故なのかは詳しくは説明できませんが、牛乳は他のミルクと比べるとカルシウムと比較してマグネシウムが少ないこと、それと無機リン酸が多いからなのかもしれません。
腎臓の役割
腎臓に集まってきた血液をろ過し、必要なものは再吸収し、必要でないものはそのまま尿として排出し、血液や体液成分のバランスを調整しています。
リンなどのミネラル成分の調整もその機能の一つです。
その他にも、
- 血圧調整
- ビタミンDの活性化
- 赤血球のコントロール(酸素のコントロール)
- 骨・肝臓・肺・心臓などの各臓器とのネットワークを構築
などのとても重要な機能があります。
腎臓の構造
腎臓のろ過機能の主役である「ネフロン」は「糸球体」と「尿細管」で構成されています。
ネフロンは一つの腎臓に約100万個、二つで約200万個あります。
ネフロンは加齢とともに減少し、一度減ってしまったネフロンは再生しません。
ネフロンが1/10以下に減ってやっと病気レベルで、1/20になってようやく腎不全になり透析が必要になるレベルになります。
腎臓では100万個もある糸球体と呼ばれる毛細血管の塊のような器官で血液から尿を作ります。
ネフロンでろ過された尿は原尿と呼ばれ一日180リットルの原尿が作られます。
これを再尿管という場所で99%再吸収されます。
ここで再吸収する成分を全身の状況に合わせてコントロールしています。
ここでさまざまなホルモンが関与します。
ナトリウムをコントロールする心臓が作るANPやカルシウムをコントロールする副甲状腺ホルモン・パラソルモン(PTH)、骨が作るリンをコントロールするホルモンFGF23・クロトーなど。
再吸収した後に残るのがおよそ1.8リットルほどの尿となり、膀胱に貯められた後に排出されます。
腎臓の目的は尿を出すことではなく、血液をきれいにすることです。