こんにちは。大阪府池田市/阪急宝塚線池田駅の自然療法整体院【関西カイロプラクティック】院長の鹿島 佑介です。
疲労の原因に関する本のご紹介です。
個人的には超面白いですが、かなり難しい本です。
『疲労とはなにか』
著者:近藤一博
出版社:講談社
価格:1100円(税込み)
疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた (ブルーバックス) [ 近藤 一博 ]
難しいと言っても新書です。
最初にアバウトで内容をかいつまむと、
- 疲労の程度は、唾液中のHHV-6の再活性化を測定すればわかる
- 生理学的疲労は末梢組織の炎症性サイトカインが脳に入ることで生じる
- 慢性疲労症候群の発生メカニズムは、生理学的疲労と全く異なり、脳内で炎症が発生している
- うつ病は脳内炎症説が最有力とみられる
- うつ病を引き起こす原因とみられる遺伝子「SITH-1」
- 新型コロナ後遺症は脳の炎症と考えられる
疲労の原因
個人的に思うのはこの本に書かれているのは「疲労」の一部の原因ではあると思います。
ただ疲労の原因は他にも多岐にわたると思っています。
1,疲労の程度は、唾液中のHHV-6の再活性化を測定すればわかる
疲労というのは生理学的疲労のことです。
HHV-6はヒトヘルペスウイルス6型のこと。
例えば、同じヘルペスウイルス属の口唇ヘルペスウイルス(単純ヘルペスイウイルス1型)は「疲れたらでる」といいますよね。
必ずしもヘルペスウイルスの活性化が疲労感とイコールになるわけではありませんが、免疫力低下の原因の中には疲労感を伴うものもあります。
例えば、甲状腺機能低下です。
2,生理学的疲労は末梢組織の炎症性サイトカインが脳に入ることで生じる
炎症性サイトカインとは、体内の末梢の組織で発赤・熱感・疼痛・腫脹などの「炎症」が生じた時に、免疫細胞から分泌される小さなタンパク質分子のことです。
体内で産生された炎症性サイトカインが脳に入ることにより「疲労感」が脳の中で生じます。
3,慢性疲労症候群の発生メカニズムは、生理学的疲労と全く異なり、脳内で炎症が発生している
慢性疲労症候群の患者にはHHV-6の再活性化はみられないそうです。
他のウイルスの影響や自己免疫疾患などが疑われていますが、まだはっきりしたことはわかっていません。
4,うつ病は脳内炎症説が最有力とみられる
『うつ病の原因としては、最も有力とされているのは、脳の炎症、特にミクログリアやアストロサイトといった脳の免疫機能に関係するグリア細胞での、炎症性サイトカイン亢進による、という説です。』
現実には脳の炎症にも様々な原因があるため、あくまで脳内炎症は原因ではなく結果ということにはなるのですが。
一般的なうつ病の原因とされるセロトニン仮説については、もちろんあるのですがうつ病の一部にしか過ぎない、と思っています。
5,うつ病を引き起こす原因とみられる遺伝子「SITH-1」
『SITH-1はHHV-6が宿主の嗅球のアストロサイトに潜伏感染しているときに発現する。』
SITH-1はHHV-6が宿主の体内で潜伏感染しているときに産生されるそうです。
6,新型コロナ後遺症は脳の炎症と考えられる
『新型コロナウイルスのS1タンパク質を鼻腔内で発現させたS1マウスは、うつ症状を引き起こす。その嗅上皮ではSITH-1マウスと同様に細胞内のカルシウムが増加し、嗅球がアポトーシスを起こし、脳内炎症がみられた。』
『S1マウスが脳内炎症を起こすのは、アセチルコリンが不足し、コリン作動性抗炎症経路(いわば消火器)が阻害されるからである。』『新型コロナ後遺症の治療薬として臨床治験中のドネペジルが抗うつ薬となる可能性がある。』
ドネペジルという薬は抗うつ薬ではなく認知症の薬で神経伝達物質であるアセチルコリンを増やす作用があります。
アセチルコリンを増やす薬は西洋医学の薬では非常に少なくほとんどが認知症の薬です。
総合感冒薬や咳止め、抗アレルギー薬など逆にアセチルコリンを抑制するものが多いです。
当然のことながら飲んだらダメですよね!?